多相型プログラミング言語の基礎研究はもはや重要性を失いつつある時代遅れ の課題であろうか.あるいは,その多くの課題はすでに解決を見たのであろう か.私にはそうは思われない.本講演は,我々が行っているML系多相型プログ ラミング言語SML#のコンパイラの開発とそのための基礎理論研究の地味な現状 報告である.それに加え,それらを通じて感じる,最近のソフトウエア科学が 目指す先端性,或は,ファッショナブルである条件なども考えてみたい. |
再帰プログラムを,巡回的な構造として視覚的・幾何的に捉えることは,直観 的にわかりやすく,また,巡回的なデータ構造を用いた再帰計算の実装に際し ても有効である.その一方で,プログラミング言語の表示的意味論では,領域 理論に代表されるような,再帰を不動点として解釈するアプローチが主流であ る.この講演では,これらの,幾何的なイメージと,古典的な不動点意味論と の間の関係について考える.特に,再帰プログラムを,結び目のような巡回的 な幾何的な構造とみなすことにより得られる,プログラミング言語の意味論の 新しい展開とその意義・可能性について論じる. |