第23回大会ポスターデモ発表概要

[P-1]  DRMシステムの相互運用性評価に関する研究

近藤順也(北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科)


FMC(Fixed Mobile Convergence)を背景としてコンテンツ流通は 今後ますます規模が大きくなり、また我々の生活にとって重要な ものとなることは必至である。その流通基盤であるDRM(Digital Rights Management)システムは、現状ではっきりとした標準化が 行われていない。その背景には、技術観点だけでなく法律、社会 制度、ビジネスの観点が大きく関わっている。本研究では、技術 以外の観点を含めた上で相互運用性を実現するための必要課題を 抽出することを目的とする。
 

[P-2]  双方向変換に基づくウェブページ更新機構

中野圭介、森畑明昌、胡振江、武市正人(東京大学大学院情報理工学系研究科)


複数のページの整合性を保ったままウェブページを更新するとは 非常に困難である.これを解決する一つの方法として,共有の データベースに対する HTML への変換を複数用意することが考え られる.しかし ながら,この方法ではデータベースを直接変更 する必要があるため,ウィキやブログのようにブラウザ上に表示 されたページを直接更新したいという要望も多い.そこで,本稿 では,双方向変換サーバと呼ばれる HTML上の更新に対応する データベースの更新を自動導出する機構を利用したウェブ更新 機構を提案する.この機構では,Javascriptを用いること により, ブラウザ上でウェブページを編集することができ,その編集は 自動的にデータベースに反映される.
 

[P-3]  A Web Service Architecture for Bidirectional Updating

林康史、劉東喜、江本健斗、松田一孝、胡振江、武市正人 (東京大学大学院情報理工学系研究科)


We propose a Web service architecture for achieving bidirectional updating. This architecture consists of three tiers: clients, a Bi-X bidirectional transformation engine, and content servers accessible through the Internet. In the architecture, source data in a content server is transformed to a view on a data viewer client, and modifications on the view is reflect back to the updated source data after the backward transformation. The benefit of using the architecture is that users can harness the power of bidirectional transformations without the burden of installing and maintaining the bidirectional language package. We demonstrate the usefulness of the architecture by using several examples.
 

[P-4]  関数プログラムの系統的探索

片山 晋(宮崎大学工学部)


与えられた関数集合から作ることのできる短い関数プログラムを 系統的、網羅的かつ効率的に生成する手法について紹介する。 の目的は、関数プログラミングを簡単にすること、及び, 網羅探索による最も効率的な実装を探ることによって、他の帰納 関数プログラミング手法の評価基準を与え、よりヒューリスティック な手法を構築する上での基盤となる知見を得ることであるが、 ランダムテストにおける反例の生成法のような応用も期待されている。 発表では、ランダムテストを用いた等価な関数の排除方法など、 最新の研究内容にも触れる。
 

[P-5]  双方向CTLによるJavaプログラム最適化器の生成

方玲、佐々政孝(東京工業大学大学院情報理工学研究科)


本研究は分岐的時間論理の一つであるCTLを拡張した過去時制を許す 対称的な双方向CTLについて、効率よくモデル検査を行う方法を示し、 実装した。双方向CTLによる記述から、このモデル検査器を使って、 典型的なコンパイラ最適化器を生成した。また、CTL記述を拡張し、 書き換え条件や一時変数など実用上必要な処理を記せるようにし、 実用的な言語であるJava言語の最適化器を生成した。従来、モデル 検査により生成される最適化器は実用的な時間では動作しないとい われていたが、本研究では7つのSPEC JVMベンチマークについて、 一つを除いて、2、3分程度で動作する最適化器が生成できる事を 確認できた。
 

[P-6]  汎用連想計算エンジンGETA

西岡真吾、小池勇治、高野明彦(国立情報学研究所)


1000万件規模の文書DBについて、文書間、単語間の量を 高速に計算する汎用連想計算エンジンGETAについて。 文書を出現単語の頻度つき集合(単語ベクトル)で内積型 の類似性計量で文書の類似性を計算する。文書群をして 類似文書を検索する連想検索や、文書群に特徴的に葉を 自動抽出する関連キーワード抽出など、様々な機能利用 できる。オープンソース形態で公開している。
 

[P-7]  連想検索を用いた分散型検索インタフェース

小池勇治、西岡真吾、高野明彦(国立情報学研究所)


本インタフェースは連想計算に基づいて複数のデータベース間を 自由に渡り歩くことができる文書連想インタフェースである。 その特長として連想された任意の文書やそれらに関連深い単語、 さらに自由文を手掛かりとして連想を行うことができる。連想 結果はデータベースごとに表示されるため、種類や品質の異なる 情報が混ざりあうことなく、安心して広大な文書空間を探索する ことができる。
 

[P-8]  Haskellのためのπ計算に基づくネットワークプログラミングフレームワーク

今井敬吾、結縁祥治、阿草清滋(名古屋大学情報科学研究科)


関数型言語Haskellのためのネットワークプログラミング フレームワーク PiMonadを提案する。π計算の名前渡し形式を 用いた細粒度のネットワークの振る舞いを表現するmonadを 導入することで、動的なネットワーク構造をもつ柔軟なプロ グラムが構築できる。PiMonadは、π計算で記述したプロトコル 仕様の実験などの場面で有効である。会場では、PiMonadを用い 作成したインスタント・メッセンジャー・プログラムのデモを行う。
 

[P-9]  対話型定理証明支援系 Agda の紹介

岡本圭史、湯浅能史(産業技術総合研究所システム検証研究センター)


Martin-L\"{o}f型理論に基づく対話型定理証明支援系 Agda を 紹介する。Agda を使って「証明すること」を理解してもらう ために、実際に Agda 上での証明のデモンストレーションを行う。
 

[P-10]  「ソフトウェア論文」について

上田和紀(日本ソフトウェア科学会 編集委員長)


日本ソフトウェア科学会編集委員会は,ソフトウェア研究の 深化を目指すのみならず,先進的なアイデアを実現したソフト ウェアの開発と普及を一層推進することを目的として,学会誌 『コンピュータソフトウェア』の論文カテゴリとして 「ソフトウェア論文」を新設いたしました. 発想,構成法,実装法などの点で優れ,実際に我々が使うことの できるソフトウェアの開発成果を学術論文としてまとめることを 奨励し,その掲載を通じてソフトウェア文化の発展に寄与して ゆきたいと考えています. しかし,ソフトウェア論文は従来の研究論文と異なり,どのような ソフトウェアについてどのような観点から論文を執筆すれば学術論文 として認められるかに関して十分な社会的合意があるわけではなく, このことがソフトウェア開発の論文化の妨げとなってきました. 本ポスターでは現在計画中の「ソフトウェア論文特集号」について 企画意図について説明し、「良いソフトウェア論文」とは何かに ついての議論を深めることを目標としています.